日本人の歯の健康状態は惨澹たるもので、至誠歯科診療所では地域の皆様のお口の健康を守るため、予防歯科の啓蒙活動を行っています。
歯を削って治せばそれで良い。そんな時代は終わりです。結局また虫歯になり、削り。。抜き。。その繰り返しを行ううちに歯を失います。
歯を治療が終われば、今度は虫歯にかからない、歯周病にかからないように歯を守っていく。そんな取り組みが重要であると当院では考えています。
写真はイメージ図です。
下段の50代女性の左図のように歯を守っていきたい。これは皆様に共通する願いでしょう。
参考 : 厚生労働省 平成17年歯科疾患実態調査
まさか自分がイメージ図の右側になるなんて。。今の日本人の現状では50歳代でも約5人に1人は入れ歯を入れているというのが実態です。
8020運動とは、80歳で20本歯を残そうという運動です。一方で、80歳で20本を達成されたかたの割合は約4人に1人に達します。
歯が丈夫な人と歯を失う人の違いはいったいどこにあるのでしょうか?
日本人の80歳の平均残存歯数は6.8本 「8020運動」には程遠い数字です。
スウェーデン人の80歳の平均残存歯数は約20本 「8020」を達成した予防歯科先進国
予防歯科先進国のスウェーデンでは、国民の約95%が歯科のメンテナンスを受診しているといわれています。
日本では、地域により差がありますが、アンケートの結果5%という地域も存在します。
ここまで読んでいただいた方は、もう予防が大事なんだということはご理解いただけたと思います。
このページでは、予防歯科を受診していただくために必要な基礎知識について解説します。
当院を受診された方、当院の受診をご検討されている方には是非お読みいただきたい内容です。
歯を失う原因のほとんどは、虫歯と歯周病です。歯を失う原因・歯周病:虫歯はほぼ同数と考えればよいでしょう。
虫歯と歯周病の成因を理解していただくことが、予防歯科を進める上で大変重要なことになります。
虫歯になる原因は、お口の中の細菌です。
代表的な細菌はミュータンス菌と呼ばれる菌で「歯垢(しこう)」の中に生息しています。
ミュータンス菌は、お口の中の糖分を摂取し、「不溶性グルカン」と「酸」を産生します。
この「酸」が歯を溶かすのが虫歯です。「不溶性グルカン」は「歯垢」のネバネバの元になる物質です。
虫歯菌は、酸で歯を溶かしながら歯垢を作りだす。
これが虫歯が発生するメカニズムです。
虫歯予防に、適切な歯磨きが欠かせないのは、まず言うまでもありません。
歯周病とは、お口の三大疾患の一つで歯茎の病気です。
一般的には「歯槽膿漏(しそうのうろう)」とも呼ばれます。
歯周病は、歯茎が腫れるだけの病気ではありません。
年代によっては、虫歯より歯を失う原因になる恐ろしい病気です。
歯周病の原因の中で、初発因子は「歯垢(しこう)」の中に潜む歯周病菌です。虫歯と同様に細菌によるものなのです。
歯周病菌は歯茎に毒素を出し、歯の周囲の組織である歯茎や歯茎の中の骨を破壊します。
歯を支える骨と歯茎を失った歯は、グラグラになり歯に異常がなくてもやがて抜け落ちます。
これが歯周病です。
歯周病の初発因子は、「歯垢(しこう;プラーク)」の中の細菌ですが、もう一つ大きな因子が歯にこびり付く「歯石(しせき)」です。
歯周病予防にとって大切なことは、歯磨きで効果的に「歯垢」を除去し、「歯石」を定期的に除去することです。
もうお気づきだと思いますが、歯周病予防・虫歯予防の双方にとって、「歯垢」の除去、つまり歯磨きがとても重要であるということです。
歯垢 (成分の80%が細菌で、歯周病菌が潜む)
歯石 (歯垢の取り残しが唾液中のカルシウム分で固まったもの)
ブラッシング指導 (磨き方が重要です)
歯石取り
メンテナンス (定期的な歯石取り 歯の検診等)
グラグラしている歯の固定、歯周外科等の外科処置 etc..
画面の左上の図は初診時の写真です。 「歯石」を除去し、ブラッシングの練習をします。
歯周病菌が潜む「歯垢」、歯石を除去していきます。
当初、炎症が強く現れている歯茎の炎症が消褪していく様子が確認できます。
画像の右下図・数か月後は、歯石が再び付着する様子が見えます。
定期的に歯石を取り、再度ブラッシングの方法や苦手ポイントをチェックします。
歯周病の基本治療?メンテナンスまでの流れです。
※厚生労働省の最新の歯科疾患実態調査でも80歳で残り約8本
国の施策で国民の約95%が
「痛くなる前に」、「歯を守るために」受診するスウェーデン。
→歯を守るために歯科を受診
予防型の受診
「痛くなってから」、「歯を治療するために」受診する日本人。→歯を削る、
抜くための歯科の受診
治療型の受診
結果として生涯を通じての、診療費の支払額の増加、痛い治療、受診回数の増加、残りの歯の数の減少を招いています。